■ 2007全関東学生ダートトライアル選手権大会
場所:丸和オートランド那須 / 天気:曇り / 気温:――
今季の全関東学生ダートラは丸和オートランドにて開催された。試合当日は雨も降らず、陽射しも適度でなかなかの良コンディションであった。車両は大会数日前の練習会でのクラッシュによる不安要素をもってはいたものの、部員の努力の猛蘇生にてどうにか元の状態に近づけることに成功。そしてレギュレーションに適合するように各装備の取り付けが急ピッチで作業された。そして、歪みが出てしまった運転席側の扉を交換し、とりあえずは万全の車両になったかのように思われた... 今回は運転席側ウインドウの開閉不可であったために大会の公式参加が認められずフリー枠での参考タイム参加となってしまった。そう、あの時に交換した扉のウインドウである。原因は配線の断線。単純なミスで全員がやりきれない悔しさに打ちひしがれたがこの失敗を無駄にしてはならず、逆にこれを生かし一人一人、全部員が高い意識とモチベーションを持つことの大切さを認識し、また必要性を感じるべきである。レギュレーション上、どうしようもない決まりは仕方がないので、あたまを切り替える事も大切である。しかしながら、なかなか気持ちがふっ切れないのか、午前は3選手ともにタイムがでないまま、午後第一番手の黒子が走行中、コース半ばのフリーターンポイントで折れたドライブシャフトがすっぽ抜け、シャフトをコース上に落としたままゴールするという珍プレーを披露し、第二走目の山口はリタイアとなったのだが、パドックでの選手及びチームスタッフの息のあった連携プレーと日々のガレージ活動が見事に発揮され、厳しいかと思われたドライブシャフト交換を余裕で第三走者の加藤までに間に合わせた。そして、迎えたラストラン、本人曰わく「チームのみんなの頑張りに答えなければならなかった。だからいつもよりも攻撃的になれた。」と語っているように、午前の走行を遙かに凌ぐ好タイムでゴールし、その日のチーム内トップタイムを叩き出した。このことはチームの進む道に明るい光をさすことになるだろう。そして、なにより精神面がレースおいていかに重大要素であるかが、部員にとってよくわかる体験となった。 主将 加藤へのインタビュー 1.まずは今回の大会の率直な印象を。 残念な結果に終わってしまいました。全く満足のいくものではありません。 2.今回の、車検に通らないというアクシデントの原因はなんだったのか? 1週間ほど前の練習会において、ブライアンにより試合車を一瞬横倒しにするというクラッシュを演じ、短い時間の中で車両の修復をしたことに直接の原因があります。ここで、損傷した運転席側ドアを交換する時に、私の判断で、時間の都合を考え、配線を切断してパワーウインドウを殺してしまったのです。ここに、車両規則書の読み落としがありました。ジムカーナでは試合車EG6シビックの運転席側のウインドウを殺した昨年以来、車検は通過出来ていたので、全くの経験則的な判断でした。つまり、直接の原因は、本番前のクラッシュにありますが、根本的な遠因は、その都度車両規則を参照して物事を決めていく土壌が全くない状況にあります。 3.ダートラにむけて、各選手の準備はどの様にしてきたか? 今シーズンの体制として、少ない予算の中でジムカーナに力を集中する分、ダートには力を入れない計画でしたが、結局、前日練習のみで本番に臨むという当初の計画を変更し、選手を中心として時間を割き、2回丸和に練習に行くことができました。2回の練習会とも、雨での中断や前述のクラッシュがあり、満足の行く走行ではありませんでしたが、この2回の練習会の前は加藤と水野しかEP82スターレットでのダート走行経験がなかったことを考えれば、選手含め上級生がダートの経験を積むという意味では予想外に充実した準備を出来たのではないかと思います。練習に関してはこれ以上望めない体制で望めたと考えています。 4.車両の準備は? 昨年から手がけている2台目のEP82を試合車にする、というのが昨年からの計画でしたが、問題が山積していて作業が遅々として進まず、結局この車両は本番に間に合わせることができませんでした。一方、もう1台のEP82(今回投入した車両)は、昨年の全関東戦で走行した車両です。この車両は去年の本番2週間前に、実績のあった他の試合車を大クラッシュさせてしまい、代わりに大急ぎで製作した車両で、ロールバーの取り付けがボディを歪ませていたり、電装系に問題があったりと、きちんとした車両ではありませんでした。これをまともに走れる車両にするため、ロールバー組み直し、電装系修理(AGOBACの皆様にお手伝い頂きました。)等々…を施し、昨年のひどいハンドリングに比べれば圧倒的に“まっすぐ走る”車両に生まれ変わりました。クラッシュした後の修復の際に露呈してしまった人間の問題を除けば、良く準備して臨めたと思っています。 5.大会に向けてのチームはどのように動いてきたか? もともと、色々な要素を盛り込んだ2台目のEP82の整備に手間取り、本番に投入出来なかったのは残念です。この車両は昨年から半年以上かけて副車両ブライアンと水野が面倒を見てきた車両です。この長い期間に、もっと打つ手はあったのではないかと反省する必要がありますが、しかし一方でこの期間に部員みんなの整備力は圧倒的に向上し、整備への姿勢も変わりました。また、5〜6月は夏合宿等の準備を見据えて、1年生総出で練習車EG6のミッション交換をやらせましたが、いきなりの大仕事にもかかわらず、少しずつですがノウハウを身に付けてきて、車両整備の能力が急速に培われてきています。チーム全体としては、今回の全関ダートを含む6月の活動は、結果よりも経験を積む期間、そして昨年から続けてきた改善の努力の結果を全関ダートで見る、という意味があったので、その点では実りの多い1ヶ月だったと考えています。特に、オープン参加となった全関ダートでは、2走目の黒子が走行中、ドライブシャフトが折れ、今までに無い速さでそれを修復できたことはみんなにとって大きな自信になりました。その結果、最終走者の私は、失うものがない中でこれまでに無く攻めて走ることができ、昨年はトップから20秒ほどあった差を10秒ほどに縮めることに成功しました。他大の背中が見えたという点で、ダートに関しては益々やるべきことが明確になってきたと思います。 6.浅間台ジムカーナをへて今回を迎えて、短期間ではあるがチームが変わったと感じる所は? 1年生が活動に慣れてきました。余裕のせいか、整備にも自主性が出始めています。特に遠征と実際の走行を見ることが出来た今、これからの自分達の活動にわくわくしているはずで、上級生としても益々頑張らないと気を引き締めています。また、2部の1年生も少しずつ動き始め、リリース掲載などの活動が見えてきました。2部の1年生に対して、今後どうやって活動に同行したり走るチャンスを与えるかが今の大きな問題になりつつあります。 7.今後の抱負を、そして課題は? ダートでは、まだまだ経験が足りず、他大との差は大きいです。正直に言って、ダートに関して青山学院大学はテールエンダーです。しかし、目前の敵に鼻頭が付くところまでは来ました。来年のダートではいい勝負が出来るように、そして夏の全日本ジムカーナでは絶対に6位以上に入れるように、頑張ります。 課題は全関ダートで表面化した、車両製作面での大幅な欠落。これを大急ぎで修復していくことが当面の課題です。選手に関しては、学生の競技において、あるレベルまでは到達できたと思います。しかし、試合車を車検にさえ通せないというのは、あってはならないことです。車両担当として、時間とお金を投入して頑張っている部員達が、車両トラブルで走行の機会を逃したりすることは、もう繰り返したくありません。もう3年生の部員に多くの時間は残されていません。これから1・2ヶ月の間で、車両製作の面で絶対に自信が持てる体制に変えていきたいと強く思っています。 今回の大会ならびに日々の活動は大学をはじめ、監督、コーチ、OBOGの皆様、各スポンサー様の多大なるご理解、御協力の上に成り立っています。このことに感謝し、この場を借りて部員一同厚く御礼申し上げます。 青山学院大学自動車部 相当順位(参考) ●団体順位 (男子18校参加中) 青山学院大学 17位 ●個人順位 (男子68名参加中) 加藤 祐樹 35位 黒子 貴仁 44位 山口 顕 53位 |